釣り関連の道具を中心に、銘木小物を日々製作しております。ユーザーの視点から、
「こんな物があったらなぁ・・・」と想いを馳せながら、
「道具性に拘ったもの」から「雰囲気を演出する小道具」まで、
使い手の心に寄り添うような心地良い道具づくりを目指しています。
奇を衒うよりは普遍な中に潜む真実やバランス・パラドックス、
また、「究極の美」のような造形・配色に興味があり、
モノ作りにもそんな精神構造が多少反映されているかも知れません。
「形」や「色」を思う時、自然界の産物やその法則には心奪われるモノがあり、
デザインや配色を考える上で大いなる刺激となっています。
見て、触って、心地良いシグナルを感じられるモノを制作するためなら、
我々は手間隙を惜しみません。使い続けてなお、愛着の沸く愛らしい道具となれれば本望です。
永く使えるお気に入りの逸品・こだわりの道具をお探しの方、私共にチャンスを下さい。
商品に使用する材料は、国内の雑木から海外の銘木材まで、
魅力を感じた樹種を中心に収集しストックしています。
適材適所に使い分けする為にも、仕入れは原木、もしくは挽き板単位が基本。
材の乾燥(自然乾燥)から製材まで、直接携わることを理想としています。
また、 希少材から木端まで、出来る限り余すことなく製品化することを心がけ、
材料の良し悪しは勿論、限りある天然材料をご予算やご希望に応じ使い分け、
「最大限にその個性を引き出してやること」が私共の使命と考えております。
「製材」・「木取り(材料取り)」は、木を生かすための第一歩。乾燥~製材を待って
商品化するということは、乾燥済みの板材ばかりを使っていては知りえない木の
「癖」や「性質」を学ぶことに他なりません。木材は、製品化されるまでの間、
吸い上げた水分が抜けるだけではなく、反ったり割れたり縮んだり…と、激しく動きます。
天然素材である木材の宿命でもありますが、できるだけその力を解き放ち、
安定化させたうえで製品化に着手するため、そして、最良と思われる素材に出会えるまで、
市場や銘木店を駆け回ります。…そんな事情から、ご注文から製作まで、
2~3年以上のスパンで準備期間を置くことが多々あるのです。
つまり、急いで準備に入ることはできても、急いで製作することは不可能です。
木を選定し、癖を見極めて更に選りすぐり、製品化するうえで使える状態に無事落ち着く素材のみが
製品化する素材として最後に残り、我々に製品化のチャンスを運んでくれる…というわけです。
日本各地で切り出され、材木市場に並ぶ材木を、毎月自分達の眼で見て仕入れることは、
大変でありながらも胸躍る楽しみなイベントです。
「木」を眺めることが好き。「木」に触れることが好き。
「木」で伝えることが好き。 好きだからこそ、大切に大胆に使いこなしたい。
T-Craftでは、あらゆる商品アイテムにおいて、「少量限定製作」を基本としています。
一つ一つの商品に気持ちを込めて製作するということは、とても手間隙と時間が
かかります。 それでも、良いものを作れば必ず伝わると信じ、
機械で出来る作業は極力機械化しながらも、最後はやはり「人の手の技」で
ゆっくり、じっくり、手を抜かずに納得のゆくまできっちり仕上げます。
そういう仕事の仕方が好きであり、そういうポリシーを良しとするスタッフが
日々楽しみながら、黙々と製作活動を続けています。
いわゆる「銘木」と呼ばれる美しい樹種や杢達は非常に魅力的ですが、
何気ない普通の素材にも、意外に面白い味を出す素材がたくさんあります。
見る角度を変えただけで驚くような仕上がりを見せることもしばしば。
「高価な素材だから」 「希少材だから」 という驕りに振り回されない
- 確かな「眼」
- 木や自然を眺めて感じる「時間」
- そしてそれを楽しむ「心のゆとり」
- 永く使っていただける気配りと工夫
そういったことを心に抱きながら「木」や「自然」と向き合うことを、最も大切にしています。
大量生産をしないのも、この部分にキッチリと拘って仕事をしたいからです。
乾燥・切り出し・製品化、どの工程においても、「木」を扱う楽しみは存在します。
そんな楽しみを皆様の喜びに変えるために、日々黙々と木に向き合っております。
数年前から感じていたこと。欅の木目を眺めていると、タイムスリップしたかのように
時間が逆行したような不思議な感覚に襲われていた。それは平凡な杢でも素晴らしい杢
でも変わりなく起こる現象であり、主に旋盤加工を担当している父も同じような感覚
を覚えるというのだ。 …近頃ではある仮説を信じるようになっている。
「欅」という樹は太古の昔から日本に存在した素材。我々の祖先が
繰り返し眺めたはずのその木肌の温もりや香りなど、人々の深層心理や網膜に
刻み込まれた情報が、意識の外で実はDNAを介して伝えられているのではと・・・。
そして、そんな仮説を実は我々身の回りの多くの現象にも見かけるのである。
身に覚えありませんか・・・木のデ・ジャ・ヴー。
シンプルかつ合理的なデザインと、さりげない装飾。・・・でありながら
思わず目が止まって釘付けになるような素材や道具・調度品。
「心の引っかかり」が教えてくれる、未知なる自分の深層心理。
先人たちの知恵やモノ作りへの意気込みが、何かを伝えている・・・と感じる瞬間。
そんな「不思議な魅力に満ちた木の道具」を、死ぬまで作り続けたいと切に願います。